e0148806_15175775.jpg

なんとまあ威勢のいい葉っぱ。こっちに向かって飛び出してきそうな勢いです。これから梅雨が終わる2カ月間は、木々が最も成長する時期かもしれません。

この木を植えたのは確か7-8年前。1mちょっとの幼木だったのが、もう3mを超えて幹もずいぶん太くなりました。樹齢はせいぜい12-13年。人に例えると入学式を終えたばかりの中学1年生といったところか。これからの6-7年が一番背の伸びる年頃です。

人はたいてい二十歳を過ぎると身長は伸びないけれど、木々は100年たっても成長を続けます。屋久島の縄文杉なんて推定樹齢4,000年、今も何らかの成長を続けているのでしょうか。それを思うと、木を育てています、なんて言うのが恥ずかしくなります。

でも、この葉っぱは僕たちが育てたものです。早春、発芽しているのを見つけては草にやられないうちにそっと移植し、苗場で2-3年養生します。肥しをたっぷりあげて、腰の高さほどに大きくなってからここに植えました。

メグスリノキの樹勢は葉を見れば分かります。元気いいのは緑濃く、大きく水平に広がり、先端はオレンジ色の幼い新芽が開いてつんつん空に向かって伸びている....そんなのを見ていると、木って正直だなあと思います。

「困ったときは助けてくれよ」と声をかければ、
「あいよ」と答えてくれそうな気がします。 (ゆ)

by <a href="http://www.megusurinoki.net/" target="_blank">フジグリーン・メグ
スリノキネット</a>

e0148806_15395201.jpg


[PR]

# by megusurinoki-net | 2018-05-31 15:41 | メグスリノキ | Comments(0)  

控えめな花だけど

e0148806_11080155.jpg

これも開花というのでしょうか。メグスリノキの花です。梅やサクラ、コブシと比べたらなんとも地味で、よーく見ないと分かりません。うつむいて、ひっそりと。小さくて、色合いもご覧の通り、開き始めた葉に似て目立ちません。花言葉は「大切な思い出」。なんだか意味深だなあ。

この花には、どうしても散り際、はかなさのイメージが離れません。花をつけた木のほとんどは威勢がイマイチで、気がつくと数年後に枯れていました。花を見つけると、ああ枯れるなあと思ってしまうのです。事実、そうでした。

サクラのように春になれば見事に咲き誇り人を酔わせる、そんな花ではありません。ほとんどの人には咲いていることさえ気づかれず、花をつけるとああ枯れると思われる、そんな花でした。

なんと哀しい花....。どっこい、花はまことに地味だけど、この木は紅葉が素晴らしい。カエデ科の中でも一番といわれます。その上、樹皮や葉を煎じて飲めば眼精疲労や肝臓にいいというんですから、なかなかのもんです。

最初は地味だけど終わりは見事。この木と付き合ってよかったなと心底思える日は来るかもな。 (ゆ)
by <a href="http://www.megusurinoki.net/" target="_blank">フジグリーン・メグ
スリノキネット</a>
 


[PR]

# by megusurinoki-net | 2018-04-30 11:50 | メグスリノキ | Comments(0)  

天敵との闘い

e0148806_20382655.jpg

メグスリノキです。根元をよーくご覧ください。赤みがかった木屑のかたまりがお分かりでしょうか。天敵ゴマダラカミキリの糞と喰いカスです。この色合いからすると、比較的最近のもの。もう喰いはじめたかと思うとがっかりです。

カミキリムシは漢字で書くと「髪切り虫」。枝にたかってギリギリと樹皮を喰い進む成虫は、ヒトの髪さえ噛み切るといわれます。また成虫となって樹幹から飛び出すとき、鉄砲玉ほどの穴を作ることから、テッポウムシとも呼ばれています。

このオレンジがかった木屑を出すのは幼虫です。おそらく去年の6-7月頃産み付けられ孵化した幼虫が、すでに形成層から木質部に食い入っているのでしょう。この幼虫は羽化して成虫になるまで、およそ2年かかるといいます。その間ずっと喰われ続けるのですからたまりません。「一匹の虫が与える被害としては最大級の害虫」といわれるゆえんです。

この天敵とは20年来の闘いを強いられてきました。こいつらのために、年平均30-40本が枯死の憂き目にあってきました。じつに1,000本近い若木が犠牲になった勘定です。

根元に糞や木屑を見つけたら、とにかくやっつけなければなりません。この時期、お春さんは先の尖った火箸と針金で幼虫がたどった跡をほじくり、駆除に明け暮れる毎日です。全滅させることは不可能ですが、一匹でも多く駆除すれば被害はそれだけ少なくてすみます。なんと根気の要る仕事か。しかし怠るわけにいきません。

この害虫の天敵は、アカゲラやクマゲラといったキツツキ科の鳥だそうです。が、この辺りで見たことはありません。もっと深い森にいるのかな。メグスリノキのこの林に、巣を作ってくれないかなあ。(ゆ)

by <a href="http://www.megusurinoki.net/" target="_blank">フジグリーン・メグ
スリノキネット</a>

 

[PR]

# by megusurinoki-net | 2018-03-30 21:13 | メグスリノキ | Comments(0)  

きみはともだち

e0148806_19274576.jpg

メグスリノキの植え替えをするので、ユンボを畑に移動した。

「パワーショベル」「バックホー」なんて名称はあるけれど、みんな「ユンボ」と呼ぶ。その由来はフランスのメーカー(ユンボ社)の商品名にあるらしい。呼びやすいし、親しみがある。

もう20年来のつき合いだ。あちこち傷んでしまったけれど、それも積み重ねてきた仕事の勲章。こうして眺めると、年季が入ってなかなか貫禄があるじゃないか。

山の林道を広げるときは活躍してくれた。2t車が通れるようにと、岩盤混じりの斜面を削りながら進んだ。おかげでバケットの爪もずいぶん丸くなった。キャタピラが外れてしまったときは往生したなぁ。その頃からか、運転席にいて、両手の動くままにアームや車両が動いてくれるような感じがあった。そのときから、君と友だちになったんだ。

ナラやクヌギに追い込まれたメグスリノキ(樹齢20年)を掘り上げ、日当たりのいい所に植え替える。肥やしを伏せて土をかぶせる、つーちゃんの仕事ぶりがいい。風に吹かれて、木々も僕らもいい気分だ。これで食べていければ言うことなし、なんだけどな。 (ゆ)

 by <a href="http://www.megusurinoki.net/" target="_blank">フジグリーン・メグ
スリノキネット</a>



[PR]

# by megusurinoki-net | 2018-02-28 19:51 | メグスリノキ | Comments(0)  

待つ、ということ

e0148806_19531465.jpg

1週間前の雪が解けずに残っている。

「うー、さぶっ」。家で、会社で、そして畑で何度うめいたことか。


工場では連日遅くまで残業。ひどい時は二交代で夜の10時まで仕事しないと(納期に)間に合わない日が続いた。60も半ばを過ぎた社長など、土日の休みもなく深夜まで作業。暇な時と忙しい時を自力ではままならない中小零細企業の宿命か。しかし生き残っていくためには、どんなに苦しくともやらなければならないときがある。鬼のような寒さの日々を、ひたすら耐えるのである。


A型インフルエンザで6日間、出社禁止の憂き目にあった。高熱で妄想にうなされ、ヘルニアの痺れもぶり返した。ようやく熱が下がり、手にした本があった。アイザック・B・シンガーの『ショーシャ』。まだもうろうとした頭でも読み進むたび味の出る、スルメのような本だった。


ショーシャはワルシャワの貧民街クロホマルナ通りに生まれた少女。知恵遅れで発育不良で、かつ美しい。幼なじみの主人公「私」は少年の頃、すでに彼女への永遠の愛を誓っている。


やがてワルシャワを出て物書きになった「私」は20年後、再びクロホマルナ通りに戻ってくる。そこにショーシャがいた。20年前とほとんど変わらない姿で。「ショーシャは成長もしていなければ年をとってもいなかった」。


二人は結婚する。しかし。もう間もなくヒトラーがやってくる。「私」はショーシャがクロホマルナ通りから引き離されたら、水を失った魚のようにたちまち死んでしまうのを知っている。そしてワルシャワに留まるが….


戦争は終わり「私」はニューヨークにいて、またワルシャワに旅立つ。ショーシャはどうなったか。それはとても言えない。ラストで「私」は待ち続ける。何を? ショーシャを? 希望を? 何かが起こると信じているかのように。


アイザック・シンガーは1978年ノーベル文学賞を受賞、イディッシュ語作家という。イディッシュ語とは東欧に流浪したユダヤ人たちの言語で「権力の座にある人々によって決して用いられたことのない世界でただひとつの言語かもしれない」と、シンガーは言っている。(辻原登『熱い読書 冷たい読書』より)


寒波が過ぎるまで、じっと待つことにしよう。いい知らせが降ってくるかもしれないから。(ゆ)

by <a href="http://www.megusurinoki.net/" target="_blank">フジグリーン・メグ
スリノキネット</a>



[PR]

# by megusurinoki-net | 2018-01-30 21:20 | メグスリノキ | Comments(0)