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玉三郎の総括

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この農園の主でござる。名は「とちぎの玉三郎」。なかなかの姿でござろう。歳は60を幾つか超えたか、自分でも分からぬ。樹高8mを超え、見晴らしは誠によい。

生まれは群馬・利根郡みなかみ町の山奥。青木沢といったか、そこの長(おさ)の一声でここに来た。小生を掘り包み、はろばろ120㎞、この地に移植したのは当農園の一代目ミノル爺。毎朝早くから働き小生の根元によく小便をしたが、肥やしもたっぷり吸わせてくれた。

交流は短かったが、青木沢の長とミノル爺は互いによく飲み、理解し、打ち解けた。その二人も鬼籍に入り6-7年たつ。今も天空で杯を交わしているだろうか。

今年も残すところ一日。瞬く間に過ぎたかと驚く一年であった。とにかくイノシシに悩まされた一年であった。作物は食い荒らされ、田の畦道は掘り蹴散らされた。虫も蛇も喰われた。このあたりでは夕方になると、子どもを外で遊ばせなくなった。冗談ではなく、このまま放置すれば農家は野菜を作らなくなる、そんな気がしてしまう。

それでも、農園には小生らの子や孫が元気に育っている。頼もしい限りだ。子や孫はネットで囲われ、イノシシから守られている。二代目のユウ、お春、つーちゃんが、何だかんだ頑張っている。ユウは春先、枝打ちの最中、ナタで親指の爪を落としちまったが、夏には草刈り機を回し始めた。お春は常に陰日向なく働き、子や孫はじめ農園のおっかさんだ。そしてつーちゃんは植え替えの名人。幼い子どもたちが立派に育つ環境をうまく作ってくれる。

小生がここに来て22年、我々はこれからも、ユウさんたちの役に立てると思っている。なんてったって黒田官兵衛以来の、目薬の木よ。ここで葉を広げ、精一杯の陽光を受け、年輪を重ねる。青木沢の長とミノル爺のご縁で、農園は二代目、三代目が育っている。

ユウさん、玉三郎はおめえと飲みてえんだ。 (ゆ)


by フジグリーン・メグ
スリノキネット

by megusurinoki-net | 2016-12-31 01:12 | メグスリノキ  

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